忘れ物は海を越えて

追跡完了
1236322030先週の金曜日のこと。工房で仕事をしていたら、ふいに携帯電話が鳴った。
聞き慣れない着信音……身近な人であれば、適当な着信音が設定してあるから、あまりコンタクトのない人物からのコールだ。
・・・・・誰だろう?? と首をかしげながら受話器に出た。

「Hallo!」
聞こえてきたのはドイツ語。1月に来日したオーストリアのゲストの1人からだった。
聞けば、最後に滞在した東京のホテルに忘れ物をしたらしい、というのだ。

「えーっと、なんて言うんだっけ。銀色の箱状、厚さが2cmぐらい。ケーブルでパャRンに繋いで使うんだけど。」
 —–CDのドライブとか?
「そうじゃなくて、それを使うとパャRン本体の容量が節約できるヤツ。」
 —–外付けのハードディスク、みたいなもの?
「ああそう! それ。だからのっぺりとしてて、これといったマークもないんだ。」
彼は国籍こそオーストリア人だが、もともとはハンガリー出身。私とは比べものにならない流暢なドイツ語を話すが、時にはこんな手探りな会話になる。

さて、とにかくホテルに確認を入れてから、詳細をメールで返信するから、という事で電話を切った。

「銀色で、厚さ2cm程度、10数センチ四方のの箱状のパャRンの部品で、メーカー等は不明」
これだけでは、さすがにホテルも対応できなかったかも知れない。
しかし、幸いなことに、彼は自分が宿泊した部屋番号を正確に覚えていた。
ホテルに問い合わせてみると、正に彼の宿泊した部屋からは、銀色の箱状のブツが忘れ物として届けられていたのだ。

その日、ちょうど車で出かける用事があったので、ついでにホテルに立ち寄り、ブツをピックアップ。
持ち帰ってから写真を撮り、メールに画像を添付して、送信した。

翌日、喜びのメールが届いていた。
どうやら、帰国後も何処でなくしたのか思い出せず、あちこちを探し回った末、最後の最後に「東京のホテルでは?」という可柏ォに行き当たったらしい。
私へ電話してきたのは、最後の頼みの綱。その可柏ォは見事にBINGO!だったというわけだ。

できるだけ早く送って欲しい、というので、月曜日にEMSで発送した。
それを追跡してみると;

3月2日 15:10  引受 王子支店 東京都
3月3日 1:22  国際交換支店/局に到着 東京国際支店 東京都
3月3日 4:43  国際交換支店/局から発送  東京国際支店 東京都
3月4日 6:43  国際交換支店/局に到着  WIEN IPZ  AUSTRIA
3月4日 6:43  通関検査待ち    WIEN IPZ  AUSTRIA
3月4日 6:47  国際交換支店/局から発送  WIEN IPZ  AUSTRIA
3月5日 8:12  到着 2521 AUSTRIA
3月5日 10:17  お届け先にお届け済み 2512 AUSTRIA

おお! どうやら無事に到着している。聞き慣れない着信音が鳴ってから、ちょうど1週間。
携帯電話に国際電話がかかってきた事にも驚いたが、その後の事の運びのスムーズさ、スピーディさにも驚かされた1件だった。