ミステリー イン リビング

神隠しかブラックホールか
携帯電話を失くした。

出先に居る時には重宝するツールだが、基本的に工房と家、バレエの稽古場、と行動範囲は限られているし、普段の生活でそれほど依存してるつもりもない。1日ぐらいは手元に無くても大きな影響はないので、今は見つからないまま放っておいているわけだが…..。

それは昨日の夜の事だった。
6時頃に仕事を終えて帰宅、8時に外出する嵐閧ェあったので、先に子供の食事を済ませて一緒に出かけた。その時、いつも持っているハンドバッグの中に携帯電話が無いことに気づいた。最後に見たのは子供に食事を食べさせている時だ。なぜか同じ内容のメールが2通着信していたので、はっきりと覚えている。時刻は7時頃、場所は自宅の居間だ。

その後、出先から帰ってきたのは9時半過ぎ。自宅の固定電話から自分の携帯電話へ電話をかけてみた。最後に見たのは居間だから、目の前の空間のどこかで呼び出し音が鳴る筈、と思っていたが、それはすぐに留守番電話に切り替わってしまった。どうやら電池切れらしい。そもそも私の携帯電話は絶滅危惧種のガラケー、しかもかなりの年代モノだ。最近はバッテリーパックがだいぶイカれてきて、あっという間に電池残量が無くなってしまうようになってきていた。

こうなると、ヤツの電波を頼りに探すこともできない。そもそも携帯電話に脚が生えて独り歩きするわけでもなし、居間の中でも、自分が置き忘れそうなところは限られてくる。心当たりは全て探してみたが、それでも…..見当たらない。意外な展開があるとすれば、携帯にもPCにもiPadにも人一倍の興味を示す、好奇心旺盛の2歳児だ。彼女がどこぞに持って行ってしまったか? それにしても、その彼女ですら、思い出せる限り、居間から出て行った様子はない。つまり、彼女が何処かにブツを隠していたとしても、それは居間の中であり、彼女の手の届く範囲内なのだから、やはりタカが知れている……それでも、見つからない。

さて、どうしたものか…..。
古今東西、探しものというのは、血眼になって探している時は見つからず、忘れた頃にひょっこり出てくるものだ。居間で失くした事は間違いないのだから、人手に渡って悪用される心配もない。このまましばらく放っておいて、ちょっとは携帯のない、不自由な生活をしてみるのも面白いかも知れない。ただ、ご多分に漏れず、携帯のメモリーにしか登録していない電話番号やメールアドレスがあるし、この間に連絡をくれた方々には音信不通と礼を欠いてしまう。うーん…..いやはや、本当にどうしようか…..。