新国立劇場「こうもり」

It’s gone
“軽やかなウィンナーワルツが流れる宴は終わってしまった。大好きだったダンサー、湯川麻美子さんの引退公演。彼女を初めて観たのは「カルミナ・ブラーナ」の””フォルトナ””だった。日本人で、こんなにも個性豊かな存在感があるダンサーが居たのか、思った。それ以来、彼女の大ファンになった。

まだまだ動けるのに、と惜しむ声は大きい。実際に舞台を観ていても、歳を重ねて益々円熟味を増し、しかし体力や身体能力では衰えを見せること無く(本人は何かしら感じているかもしれないけれど)、まだまだ観たい、と思ってしまうが、彼女の自覚として現役を退く””その時が来た””と感じだのだろう。お洒落でコケティッシュで、大人っぽい艶っぽさもあり、彼女にしかできないベラを魅せてもらった。舞台の上のダンサーも、観客も一体となり、彼女のが立っている舞台、その劇場の同じ空間で、同じ空気を吸っていることすら、感動的だった。オペレッタではないけれど、オルロフスキー邸で浴びるほどシャンパンを飲み、ふと気がついたら、もう宴はおわってしまった、あの空虚な気分。麻美子さん、ありがとう。”