オペラ座の向こう側

偶々縁があって、映画の試写会を観てきた。12月9日からロードショーとなる「新世紀パリ・オペラ座」。

2015年1月から2016年7月までのオペラ座、主にバスティーユに焦点をあてたドキュメンタリーで、一つの舞台が作り上げられていく様を描くとか、誰か個人を追う、というものではなく、この期間にオペラ座で起こったことを、ある部分は丁寧に、あるいは断片的に、パズルのピースのように見せてくれる。そうしてすべてのピースが出揃うとオペラ座の組織であったり、関わる人々であったり、が「見えて」きて、凄く興味深かった。映画自体はバレエよりもオペラに焦点があてられていたけれど、お役所(文化庁)からの人員削減要求と組合に挟まれて頭を悩ませる経営陣であったり、オーディションに合格した若きロシア人のバリトン君の奮闘であったり(彼はドイツで学んできていて、ドイツ語と英語には不自由しないがフランス語はまだまだだった)、初日の2日前に「マイスタージンガー」のザックス役が降板してしまい、急遽代役を探す様子だったり、と『事実は小説より奇なり』な展開が繰り広げられて、全く退屈しない。

スポットのあたった本番の舞台を観客として堪能するのもいいけど、舞台裏はもっと面白い、と感じてしまうのは、やっぱり私が裏方好きなんだろうな。