椅子の逸品

馬に乗るように座る
来た来た！　何やら大きな箱。
バランスチェアというシロモノである。馬に乗ったときのような背筋が伸びた姿勢で座れるというノルウェー製の椅子だ。

ここのところ、細かい刺繍やまつり縫いをするのに、長時間椅子に座って作業をすることが多かった。気が付けば、肩から腰まで、まるで鉄板でも入っているかのようにカチンカチンに張ってしまい、根本的な解決方法がないものか、と探していたのだ。

人間が直立歩行をするようになって、背骨はS字にカーブしたと言われるが、整体師に言わせると、私の背骨はそのカーブが少ないそうだ。言われてみれば、フラメンコやラテンダンサーは尾てい骨が上がった見事なＳ字の背中をしているが、私は扁平で直線に近い。Ｓ字を真似ようと出っ尻を試みれば、腰が痛くなる始末。直線に近い背骨と肩こりや腰痛の因果関係はわからないが、長時間同じ姿勢で作業をするのであれば、椅子にこだわってみるのも一案、と思い立った。
辿り着いたのが、背筋が理想的なＳ字を保って座ることができるバランスチェア。身体が小さいので、できる限り細かく調節できるように、と座面だけでなく、膝受けの高さも調節できるモデルを選んだ。

届いた箱を開け、早速組み立てる。組み立て作業はあっという間に終わった。
座面と膝受けを繋ぐ部品が木製で、なんだかカワイイ。
座ってみる。背骨がカーブしているという自覚はあまり感じられないが、しばらく座ってから、普通の椅子に座ってみると、驚くほどその感覚が違う。

普通の椅子だと、骨盤全体が背中側に傾いているような感じがするのだ。一方、バランスチェアだと座骨が垂直にたち、座面にかかる圧力もうまく分散されているように感じられる。
さすがに、バランスチェアに座ってミシンを踏むことはできないが、事務や手縫い作業には、なかなかイケるかも知れない。