訃報

永遠の妖精
1239609008エヴァ・エフドキモワの訃報が入ってきた。
4月3日、患っていた癌の為に亡くなったそうだ。享年60歳。

あれは、私がまだ高校生の頃だった。
親から貰えるお小遣いを貯めて、彼女の来日公演を観に行った。
彼女は、可憐で、軽やかで、本当に妖精そのものだった。

ピルエットで何回回るとか、耳の横まで脚が上がるとか、それはそれで確かなテクニックではあるけれど、そういった個々の技術がどうということではなく、彼女の、体重を感じさせない、やわらかくて、たおやかで、詩情豊かな動きは、劇場の空気さえ変えてしまうようだった。

「バレエってこういうものなんだ!」
その感動は、魂を揺さぶられるような衝撃とともに、鮮明に覚えている。

おそらく、バレエ芸術が成熟した当時、ポアントを履いて踊ったマリー・タリオーニに魅了された観客と同じ感動を、現代の私に与えてくれたように思う。

現役引退後は、日本で開催されていたコンクールの審査員や講習会にも名前があった。
まだまだ、活躍中とばかり思っていたのに、まさか、こんな知らせを聞くことになるとは。

心からご冥福をお祈りします。