訃報 永遠の妖精エヴァ・エフドキモワの訃報が入ってきた。4月3日、患っていた癌の為に亡くなったそうだ。享年60歳。 あれは、私がまだ高校生の頃だった。親から貰えるお小遣いを貯めて、彼女の来日公演を観に行った。彼女は、可憐で、軽やかで、本当に妖精そのものだった。 ピルエットで何回回るとか、耳の横まで脚が上がるとか、それはそれで確かなテクニックではあるけれど、そういった個々の技術がどうということではなく、彼女の、体重を感じさせない、やわらかくて、たおやかで、詩情豊かな動きは、劇場の空気さえ変えてしまうようだった。 「バレエってこういうものなんだ!」その感動は、魂を揺さぶられるような衝撃とともに、鮮明に覚えている。 おそらく、バレエ芸術が成熟した当時、ポアントを履いて踊ったマリー・タリオーニに魅了された観客と同じ感動を、現代の私に与えてくれたように思う。 現役引退後は、日本で開催されていたコンクールの審査員や講習会にも名前があった。まだまだ、活躍中とばかり思っていたのに、まさか、こんな知らせを聞くことになるとは。 心からご冥福をお祈りします。 投稿ナビゲーション 忘れ事パフスリーブのクラシックチュチュ