リフォーム物語

復活の1着
自分が手がけていない製品のお直しは、できれば避けたいものだ。パターンや縫製の仕様が違うし、デザインにしても、最初に制作者が意図していたものがわからないから、下手に手をかけると、全体を壊しかねない。
一方で、お教室の先輩が着た衣裳が、代々後輩に受け継がれ、初ス年も使われている、としたら、それは制作者にとって幸せな事だし、衣裳にしたって、それだけ繰り返し使って貰えれば、藷?ェに役を果たしていると言える。
そんな風に大切に使ってもらっている衣裳が「何とかなりませんか?」と持ち込まれると、やはり出来る限りのことはしてみようか、という気になる。

今回は、お世話になっているお教室の古株さんが持っていた衣裳のお直しをすることになった。
彼女が持っていたオーロラの衣裳、ジュニアだった当時から比べれば、身長が伸びているし、着られないわけじゃないけれど、脚繰りがキツイ、と言うことで、スカートを全取っ替えすることになった。

受け取った衣裳は、武カ地のブロケードに対し、裏生地の帆布が縮んでしまったのか、武カ地のたるみが気になった。また、スカートはなぜか背中心が必要以上に畳まれていて、きれいな円のシルエットになっていなかった。

解体して、アイロンをかけてみると、帆布の狂いがはっきりとわかる。ところによって生地の縦目が正確にとれていないため、汗を吸った生地が乾く際にゆがんでしまったのだろう。飾りがついているボディの上の部分の狂いを直すのは難しいが、幸い、ペプラムの方は狂いが少なく、アイロンをかけた後、武カ地と裏生地を合わせ直すことで、たるみをなくす事ができた。

スカートは全く新しく作ったものに、既存の1円のオーバースカートをのせることにした。
どういうわけか、オーバースカートのローウエスト周りと、ペプラムのローウエスト周りのサイズが違う。ボディをよくよく見てみると、最初から背中心がオーバークロスになっていて、そのため、スカート側はそれに無理矢理合わせるために、背中心が畳まれていたのだ。

どうしてこんな仕様になっているのかは、わからないが、上下を合わせるのにそのサイズが違っていては、綺麗に仕上げることができない。
そこで、ボディの方も、背中心の位置を本来の位置に移動させて、ホックと糸ループも全て付け替えた。

1239869129オーバースカートはほぼ円形でとられているようだった。人間の身体を輪切りにした状態は、結国ネ円なので、円形でとったオーバースカートは脇のカーブのRが不足し、盛り上がってしまう。
そこで、オーバースカートのパターンも少し修正。

ひとつひとつのパーツに、出来る限り(でも大手術になりすぎない程度の)修正を加え、いよいよ、上下を接ぎ合わせる。完璧、とはいかないまでも、ペプラムのたるみもとれ、スカート丈も充分な1着になったと思う。