大失態

秋晴れの彷徨い人
 事の発端はお弁当だ。

 いつもならコンビニやら近所のお蕎麦屋さんやらで昼食をとっているのだけれど、今日に限って昨日の夕食の残りがあったので、柄にもなくお弁当にしたのだ。

そして、いつもの時間になり、工房へ出勤するために、作ったお弁当を手に家を出る…
この時、夫と一緒に家を出た。そう、だから気が付かなかったのだ。

 工房までは徒歩5分ほど、秋晴れの気持ちのよい風が頬を伝い、今日の仕事の段取りなんかを考えているうちに工房へ到着。そして気が付いた!

私ってば、ハンドバッグを忘れてる!!!

毎日、お財布や携帯、キーケースなんかを入れて持ち歩いているハンドバックを持っていた手に、お弁当袋を持ち、そのまま家を出てきてしまった。家を出る時は夫が施錠したので、自分自身がハンドバッグを持っていないことに気づかなかった、というワケ。

 さて困った。
夫は既に会社へ向かってしまったし、携帯電話もお財布もない状態では連絡も取れない。そして、よりにもよって今日はスタッフが出勤する嵐閧烽ネい。このまま何もしなければ、夫が帰宅するまで家にも入れない…..。

 工房が入っているテナントビルは、セコムのセキュリティーがかかっている。当然、セコムさんは合鍵を持ち合わせている。これは、もうセコムさんにすがるしかない…。

とはいえ、携帯電話すら持っていないので、別フロアーに入居している会社へお邪魔し、電話を貸してもらった。荷物を持たずに出勤した、なんてどこの馬鹿社員だろう?と呆れられたに違いない……。

セコムさんに事情を説明し、電話口で、こちらのフルネームや、登録してある自宅の電話番号等を告げる。一応本人からの解錠要請と思われる、としてくれたので、とにかく来てくれることになった。何しろ、この電話を切ったら、先方から私へ連絡を取る手段がない。私が怪しい奴かどうかも含め、直接コンタクトを取るしかないわけだ。30分ほどでセコムさんが到着。無事工房内に入ることができた。これ、合鍵を持っている第三者がいなかったらどうしていたんだろう? 鍵開け屋さんでも呼ぶしかなかったか、と思うと、笑ってもいられない。

 工房に入れれば、今日の仕事には支障はない。
ただ、相変わらず家の鍵がないから、家には帰れない。やれやれ、仕事が溜まっているわけじゃないんだけど、今日は奇しくも残業だな…..。