第二の指

タンスの肥やしの復活
1237449474繊細に見える衣裳も、ボディの土台は意外としっかりしている。
身体にフィットさせるために、引っ張り気味に着るので、生地には力がかかるし、刺繍やブレードなどの飾りを縫いつけるためにも、土台にはある程度の厚みや強度が必要なのだ。武カ地と裏生地を重ねて縫い上げているので、部分によっては生地が4重にも6重にも重なっている。それこそ、ちょっとしたジーンズより厚いぐらいだ。

そんなボディに手縫いの作業をするには、細い針では曲がりやすく、ある程度太めの針を使った方が縫いやすい。
ところが、太めの針は、それはそれで、縫い通すのに力が必要で、気が付けば針のお尻があたる指先が穴だらけ、なんてことになる。それを防ぐためには指貫を使えば良いのだが、昔から指貫をするとどうも違和感があり、作業のスピードが鈍るので、大抵は指貫をせずに強行に作業をしていた。

ところが、先日のミントのチュチュにモチーフを縫いつけていたとき、モチーフに残っているボンドに針がなかなか通らず、一針ごとに指の腹で強く押し上げなければならなかった。数時間も作業すると、指先の皮はぼこぼこになり、触るだけで傷みを感じるほどになってしまった。さすがにこれはイタイ。多少、作業のスピードが落ちても、指貫を使おうと久しぶりに引き出しの中から指貫を引っ張り出してきた。

実はこれ、店頭で指にはめてみたときは、革の部分がよくフィットするし、金属部が埋め込んであるから、太めの針のお尻を押すのも安心、と、躊躇することなく購入したのだが、実際にはめて作業してみると、わずかではあるが、中で指が動いてしまい、それを防ごうと、指先に余計な力が入り、どうもしっくりと来なかったので、結局、ずーっと引き出しの中にしまい込んでいたものだ。

とりあえず、使い始めてみると、革がのび、当初より更に指が動くようになってしまった。そこで、動かないように、指貫の上から輪ゴムをぐるぐるとはめてみた。
するとどうだろう。 革の厚さが適度なクッションとなってゴムで締めているきつさを感じることもなく、指貫はぴったりと指にフィットし、ストレスを感じることなく作業することができたのだ。

以来、刺繍だけでなく、手縫いの際にはまず指にはめるようになった。ちょっとした工夫でこんなに使いやすくなるなんて….もっと早くから試してみればよかった。