ロマンチックチュチュのお直し

春霞
1270436514この衣裳、かなり古い。ちょっと短めのスカート丈にローウエストのシルエットが、上品で可愛らしく、このスタイルを好んでくれるお客様には好評なのだが、ボディ、スカート共にパールレースの上にグラスシャをのせてある凝った作りで、メンテナンスする方はなかなか大変だ。

特に、一番上にかけてあるグラスシャ。オーガンジーほど張りがなく、ジョーゼットほどの重みや落ち感がない。本当に霞のような、何とも言えない余韻が残る生地で、今では入手できない。そして、その薄さ故に、弱い。
特に、ボディは、摩擦や飾りにひっかけたりするせいで、縫い目から破れ、その度に細かく縫い止めて綻びを繕ってきたのだが、ここにきて、それも功をなさず、まるで煙でも立っているかのようになってしまっていた。こうなったら一度スカートを外して、出来る限りのお直しをしてみるか….。

とにかく、スカートからボディをはずし、今まで綻びを止めるために縫い止めてきた針目をすべてほどいていく。細かく縫ってあるがために、解くのには時間がかかる。その後、グラスシャだけを丁寧にカットして外していく。接ぎ線のミシン目も緩んできていたので、この際、全ての接ぎ線にもう一度ミシンをかけ直して縫い目を強化しておいた。全体にアイロンをかけて型を整え、レースがずれないように、小端ミシンをたたきなおす。ボディのお直しだけで、思うより時間がかかってしまったが、こうしてまた、舞台に立ってくれると思うと、手のかけがいもあるというもの。1270436514