キトリ

赤の洪水
“”大体、こんな風にしよう””という大まかなデザインをイメージしておいて、あとは素材を見てから、というのは、冷蔵庫の中身を見てから夕食の献立を決めるのと似ているかも知れない。
それで、メインは、豚でも鶏でも、その日に手に入ったもので、と考えて、買い物に行き、思いの外、良い素材に出会ってしまった時、家にあった材料では、どうも物足りなく感じてしまう…..。

このキトリもそんな感じ。レースをメインにしたデザインを漠然と考えていたものの、いざ、レースを探しに行って、想像以上にぴったりくるものを見つけた。それに合わせるつもりでいた別の素材が、並べてみると、ちょっとだけ色味が違う。もうちょっと明るいのや鮮やかなのがあったかも、と端切れの箱をひっくり返す。そうして、テーブルの上は様々な素材の赤や朱や紅で一杯になる。